人の名前が咄嗟に出てこなかったり、今日やらなくてはいけない事をすっかり忘れていたり、日頃生活をしている中でうっかり忘れてしまう事は誰にでもある事です。
そんな物忘れと違う症状に「記憶障害」があります。
記憶障害とはその名の通り、自身の記憶に障害をきたすこと。
最近のことだけでなく、自身の人生にかかわる一部であっても、その記憶が「抜け落ちる」ように思い出すことができない症状のことを言います。
「物忘れ」とはどう違う?
記憶障害とはアルツハイマー型認知症や外傷・病気による脳の損傷、強い心的ストレスなどが原因となり、様々な記憶に障害をきたすことを「記憶障害」といいます。
一般的な物忘れであれば「買い物に来たけど買うものを思い出せない」のように自覚があります。
記憶障害の場合は、過去の体験や出来事の記憶自体が抜け落ちている状態なので、本人が「忘れている」という自覚がないのが特徴的です。
一緒に経験したはずの出来事や、人生を送るうえで当然知っているべき記憶について、思い出せないということがあるのならば「記憶障害」を疑いましょう。
具体的には、以下のような症状があります。
・今日の日付がわからない
(単に「11月1日か2日のどちらだったかを忘れた」という形ではなく、「今が何月何日でどの季節だったか理解・記憶できない」といった状況を指します。)
・自分の通った学校の名前など、当然本人が知っているべきことが思い出せない
・何度も同じことを話す。
記憶障害の種類記憶障害は主に5つに分類されています。
①短期記憶障害
短期間で起きた新しい情報を収容する脳の海馬機能が低下することで、最近の出来事が記憶できなくなります。
たとえば今日の日付や曜日、ご飯を食べたこと、友人と話をしたことなどが記憶として留まらず、覚えてられないのが特徴です。
②長期記憶障害
長期にわたって記憶が思い出せなくなります。
たとえば子供時代のことや結婚していること、仕事のこと、家族のことなどがあげられます。
直近の出来事ではなくても、自身の人生を作ってきたさまざまな出来事は、思い出そうとすれば思い出せるケースが多いものです。
ヒントをいくらもらっても、ある部分の記憶もしくは長期記憶の大部分がふいに抜け落ちてしまっているのであれば、長期記憶障害の可能性があります。
③エピソード記憶障害
体験した出来事である「エピソード」を、きちんと思い出せないことを言います。
たとえば「昔就いていた職場でどんな仕事をしていたか」といった大きなことから、小さな「さっきご飯、食べたっけ?」といった「体験内容=エピソード」を覚えておくことができません。
一定の範囲内のエピソードが全体的に記憶できないケースや、断片的な記憶はあったとしても、それが全体にどうつながっていて、どんな内容だったのか分からないケースもあります。
④手続き記憶障害
自然と体が覚えている日常作業や仕事の作業を忘れてしまうことを言います。
料理の基本的な作り方や包丁での切り方、洗濯物のたたみ方、楽器の演奏や自転車の乗り方など、頭で考えなくてもできていたことができなくなります。
⑤意味記憶の障害
言葉の意味を記憶することができません。
言葉の名称を思い出すことができなくなる場合もあるので、会話に「あれ」「それ」などの指示語が増える傾向にあります。
会話の相手に正しい内容を伝えることが難しくなります。
記憶障害が進んでくると、周囲はもちろん、本人も大きなショックを受けやすくなります。
日常生活のなかで大切な記憶が抜け落ちるかもしれないという不安感、もの探しへのストレスなどの負荷はとても大きなものです。
症状が見られたらまず専門の病院にかかり、きちんとしたサポートを受けながら周囲が理解し、安心して生活できる環境を整えていきましょう。
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